2025年12月26日

春の花粉症シーズンになると、毎年のように目がかゆくなったり、充血したりしてつらい……そんな悩みを抱える方はとても多いでしょう。花粉による目のかゆみは、症状が出る前の準備や、日常のちょっとした工夫で、シーズン中のつらさを大きく軽減できる場合があります。本記事では、花粉症シーズン前から始められる予防法や、セルフケアでの対処法、眼科での治療法などをわかりやすく解説します。少しでも楽に春を迎えるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
花粉症で目がかゆくなるのはなぜ?アレルギー性結膜炎のしくみ

花粉症の代表的な症状である目のかゆみや充血、異物感、涙目といった症状は、スギやヒノキなどの花粉が目の結膜に付着し、体の免疫が働くことで起こるアレルギー性反応によるものです。鼻水やくしゃみも、花粉に対するアレルギー反応の一つです。 症状の強さは、体質の違い(花粉への反応のしやすさ)によっても大きく変わります。花粉に触れる時期が長かったり、過去に何度も花粉にさらされてきた場合には、体が花粉を異物として認識しやすくなり、拒絶反応が出やすくなることがあります。そのため、同じ環境にいてもすぐに症状が出る人と、症状が出ない人がいるのです。
予防のカギは、花粉が飛ぶ前から始める「初期治療」
花粉症の治療には、症状が出た後に抑える対症療法だけでなく、症状が出る前から反応を起こりにくくする初期治療があります。
初期治療とは、スギやヒノキなどの花粉が飛散する1〜2週間前を目安に、抗アレルギー点眼薬や内服薬を使い始める方法です。抗アレルギー薬を継続的に使用すると、結膜のアレルギー反応に伴う炎症を最小限にでき、結果として症状を軽くすることができます。シーズン序盤から症状が強く出てしまう人に有効とされています。スギ花粉は例年2月上旬〜中旬に飛散が始まる地域が多いため、1月中旬〜下旬に受診しておくと、初期治療の効果をより実感しやすくなります。
なお、市販の抗アレルギー点眼薬でも、一定の予防効果が得られることはありますが、成分や濃度は処方薬とは異なります。より確実な予防効果を期待する方は、シーズン前に眼科を受診し、自分の症状や生活習慣に合った処方薬を選んでもらうほうが安心です。
その他、花粉症そのものを長期的に改善する根治的治療として、舌下免疫療法があります。これは免疫に働きかける治療ですが、花粉が飛散していない6~12月に開始する必要があり、さらに効果が出るまでに数か月から年単位の時間がかかります。即効性がある治療ではありませんが、毎年つらい花粉症を将来的に軽くしたい人にとっては、有効な選択肢の一つです。
花粉症シーズン前から実践!日常生活での予防法
花粉症の症状を少しでも軽くするためには、日常生活でできることもたくさんあります。シーズン前から生活環境を整えておくことで、花粉症のつらさを大きく軽減できる可能性があるため、次の点を意識してみましょう。

外出時に花粉をできるだけ浴びないようにする
花粉は風の強い日や晴れた日の昼前後に多く飛ぶ傾向があります。花粉の飛散情報などを確認し、可能な場合は外出時間を調整しましょう。また、花粉対策用メガネやサングラスを使用すると、目に入る花粉の量を大きく減らせます。ふつうのメガネでも一定の効果があり、目の周りの露出が減るだけでも症状の悪化予防につながります。帽子をかぶる、マスクをするといった工夫も有効です。
帰宅後は花粉を家に持ち込まない工夫を
帰宅後のケアも重要です。衣服や髪には想像以上に多くの花粉が付着しています。玄関で上着を脱いだり、軽く花粉を払ったりするだけでも、室内に持ち込む花粉を減らすことができます。帰宅後は、洗顔やシャワーで顔や髪についた花粉を洗い流すことを習慣にするとよいでしょう。まぶたのキワやまつげに付着した花粉が刺激となる場合もあるため、丁寧にケアすることが大切です。
室内環境を整える
室内に花粉を持ち込まないこと、室内に入ってしまった場合はできるだけ早く除去することを心がけましょう。たとえば、次のような対策がおすすめです。
・花粉を持ち込まないための対策:
洗濯物は室内干しにする、乾燥機を併用する、換気は花粉が少ない時間帯に短時間で行うなど
・花粉を取り除くための対策:
こまめに掃除機をかけたり水拭きを行う、花粉に対応したフィルター(HEPAフィルターなど)を用いた空気清浄機を使うなど
コンタクトレンズの使用はできれば控えて
コンタクトレンズの表面に花粉や汚れが付着すると、かゆみや充血が悪化しやすくなります。普段コンタクトレンズを使用している人も、花粉の時期だけメガネに切り替えたり、ワンデータイプのレンズに変更したりすると、負担が軽減されます。強いかゆみがある状態でコンタクトレンズを装用すると、角膜や結膜に傷がつくことがあります。症状がひどい日は無理をしないことが重要です。
このように、日常生活の小さな工夫を積み重ねるだけでも、目に触れる花粉の量を大幅に減らすことができます。
それでも花粉症の症状が出てしまった時のセルフケア
予防していても、花粉が多い日や体調によっては目のかゆみや充血が出ることがあります。悪化させないために、次の点に注意しましょう。
目がかゆい時はこすらずに、冷やす
かゆみを感じた時に目をこすると一時的に楽になりますが、目の表面が刺激され、かゆみがさらに強くなる場合があります。まぶたの腫れや充血の悪化、角膜の損傷などの原因にもなるため、こすらずに対処することが重要です。
症状が軽い場合は、人工涙液(生理食塩水)で洗眼後、冷やしたタオルや保冷剤を清潔なガーゼで包んでまぶたの上にのせると、かゆみやほてりが落ち着きやすくなります。ただし、直接氷を当てることは刺激が強すぎるため、やめましょう。
かゆみが強い時は、人工涙液(生理食塩水)で花粉を洗い流す
目がかゆい時に、水道水で目を洗う人もいるでしょう。軽く水で流す程度であれば問題ありませんが、過度な洗眼を繰り返すと、目の表面を守る涙の成分まで流してしまい、刺激に敏感になる場合があります。花粉などを洗い流す際には、防腐剤の入っていない人工涙液を数滴点眼するのが効果的です。
市販の点眼薬は適切な使用を
市販の抗アレルギー点眼薬の中には、軽いかゆみや充血を改善できるものがありますが、症状が強い場合には十分な効果が得られないことがあります。数日間使用しても改善しない時やかゆみが再発しやすい時は、無理に使い続けるのではなく、眼科に相談することをおすすめします。
なお、充血の改善目的で、市販の血管収縮剤入り点眼薬を使う人もいるでしょう。このタイプの点眼薬は、一時的には症状が改善しますが、充血の原因に対する根本治療ではなく、対症療法に過ぎません。さらに、何度も使用すると効果が切れた時に充血が悪化するリスクがあります。充血が気になる人は眼科を受診しましょう。
花粉症の目のかゆみがつらいなら眼科の受診を

セルフケアや市販薬で対応しても症状が続く場合や、いつもと違う不快感がある場合は、早めに眼科を受診することが大切です。
花粉症の治療としては、まず抗アレルギー点眼薬を中心に使用し、症状の程度や生活に合わせて種類を調整します。症状が強い場合には、短期間だけステロイド点眼薬を併用することもあります。これは炎症を強力に抑える薬ですが、副作用(眼圧上昇など)に配慮しながら慎重に使う必要があり、市販薬として販売されていません。さらに、重度の花粉症では、免疫抑制点眼薬が処方されることもあります。
その他、鼻水やくしゃみなどの症状も強い場合には内服薬を併用します。全体の症状が落ち着きやすくなり、目のかゆみも軽減することがあります。このように、眼科では症状に合わせた治療を受けることができます。
なお、春先の目の不快感が、必ずしもアレルギー性結膜炎によるものとは限りません。特に、痛みを伴う、光がまぶしい、視界がかすむ、黄色く粘り気のある目やにが増える、片目だけ症状が強いといったケースでは、ドライアイや角膜炎など、他の病気が隠れている可能性もあるため、早めに受診しましょう。
まとめ
花粉症の症状を「毎年のこと」と諦めている人は多いでしょうが、早めに予防することで、つらい症状を緩和させられる可能性があります。セルフケアと眼科での治療を組み合わせて、花粉症のシーズンを乗り切りましょう。
記事の要点
- アレルギー性結膜炎は、花粉が結膜に付着して起こる免疫反応であり、症状の強さは体質や花粉への感受性によって異なるものである。
- 花粉が飛散する前から抗アレルギー薬を使う初期治療は、シーズン序盤から症状が強く出る人に有効で、確実な予防には眼科での処方薬が望ましいものである。
- 日常生活では、外出時に花粉対策をする、帰宅後は花粉を除去する、室内環境を整える、コンタクトレンズを控えることなどが予防に重要である。
- 症状が出た場合は、こすらず冷やす、人工涙液で花粉を洗い流す、市販薬を適切に使うといったセルフケアが有効である。
- 症状が強い・改善しない、痛みが強い、片目のみに症状が現れるなどの場合は、ほかの病気の可能性もあるため、早めの眼科受診が必要である。