2026年2月02日

目が乾く、充血する、しみる、光がまぶしい……冬になると、こうした目の不快感に悩む人が少なくありません。その原因の一つに「ドライアイ」があります。ドライアイは空気乾燥が進む冬に悪化しやすい目の病気です。そこでこの記事では、ドライアイのしくみや症状、冬に悪化しやすい理由を解説します。日常でできる対策や受診が必要なサインについても説明するため、思い当たる症状がある人はぜひ参考にしてみてください。
ドライアイとは?涙のしくみと不調が起こるメカニズム
ドライアイは、涙の量が減ったり、涙がすぐに蒸発してしまったりすることで、目の表面(角膜)がうるおいを保てなくなる状態を指します。「単なる目の乾燥」と軽く考えている人もいますが、ドライアイは日本眼科学会の「ドライアイ診療ガイドライン(https://dryeye.ne.jp/wp/wp-content/themes/dryeye/file/dryeye_guideline.pdf)」でも、“病気”として位置づけられていて、治療が必要になることもあります。
ドライアイは目の表面にある薄い涙の膜(涙液膜)に異常をきたすことで発生します。涙液膜は、性質の異なる次の3層が重なって構成されています。
〇油層
油層は、まぶたの縁にあるマイボーム腺から出ており、水分の蒸発を防いでいます。油層に異常が生じると、涙が蒸発しやすくなります。
〇水層
涙腺から出ている水分の層です。目に栄養を与えたり、ゴミを洗い流す役割があります。水層が少なくなると涙の量が減るため、目が乾燥しやすくなりドライアイを引き起こします。
〇ムチン層
ムチンは、目の表面に水層を留まらせておく接着剤のような役割を果たしています。ムチン層に異常が生じると、涙が目にとどまらず、不安定な状態になります。

これらのどれかが不足したり、バランスが崩れたりすると、目の表面に涙が安定して留まらず、すぐに乾くようになります。これがドライアイの状態です。最初は目が乾く、ゴロゴロするなど、軽い不快感で済んでいても、悪化すると痛みやまぶしさ、かすみなどの症状まで気になるようになります。さらに、放っておくと角膜に細かな傷がつき、視力の低下につながることもあります。
ドライアイの原因
ドライアイは、涙の「量的な異常」「質的な異常」、そして「眼表面の異常」によって起こります。それぞれ次のようなことが要因として挙げられます。
〇量的な異常
量的な異常とは、涙の量が減ることです。主な要因としては、加齢による涙の分泌量低下、薬による副作用(抗アレルギー薬・抗うつ薬など)、自己免疫疾患、睡眠不足などが挙げられます。
〇質的な異常
特に近年問題になっている「マイボーム腺機能不全(MGD)」など、涙の量に異常がなくても、質的な異常によってドライアイが引き起こされることがあります。油層が不十分になることで、涙が数秒で蒸発しやすくなるからです。涙の質的異常の主な要因としては、たとえば、長時間のスマートフォンやパソコンの使用によるまばたきの減少、マイボーム腺の出口を防ぐようなアイラインなどの化粧、ストレスや生活習慣などが影響します。
なお、女性はホルモンバランスが変化することで、涙の量が減少したり質が低下したりすることがあります。特に、女性は閉経前後にドライアイになりやすいことが知られています。
〇眼表面の異常
角膜や結膜といった眼表面の状態が悪くなることも、ドライアイの大きな要因とされています。眼表面の細胞が傷ついたり、ムチンの分泌が低下したりすると、涙が角膜に均一に広がらず、涙液膜がすぐに途切れやすくなります。その結果、乾燥が進み、しみる、ゴロゴロするといった症状が起こります。
生活習慣や環境、加齢、ホルモンバランス、化粧の方法など、複数の要因が重なることで、ドライアイを発症すると考えられています。

ドライアイで起こる主な症状
ドライアイでは、涙の量や質の異常、眼表面の異常が複合的に影響し合い、さまざまな症状が現れます。
- 乾燥感・異物感
- しみる
- まぶしい
- かすむ
- 充血
- 疲れやすい
- 涙が出る(流涙):角膜が乾いて刺激された結果、反射的に涙が大量に出ている状態で、ドライアイ特有の現象
- コンタクトレンズがゴロゴロする
こうした症状が複数当てはまる場合や症状が改善しない場合は、ドライアイの可能性があります。
冬にドライアイが悪化しやすい理由
冬はドライアイが悪化しやすい季節です。その理由として次のことが考えられます。
〇湿度の低下
秋や冬は湿度が大きく下がります。湿度が低い環境では涙が蒸発しやすく、角膜表面のうるおいが保ちにくくなります。そのため、乾燥する季節には、わずかな風や刺激でも目の乾きを強く感じやすくなります。
〇暖房器具の使用
暖房の風が直接顔に当たると、目の表面が一気に乾燥することがあります。オフィスのエアコンや車の暖房など、環境によっては短時間で症状が悪化することもあります。
〇秋や冬の過ごし方によるまばたきの減少
一般的に、寒くなると室内で過ごす時間が増え、スマホやパソコン、テレビなど、画面を見続ける時間も増加する傾向があります。集中して画面を見ることでまばたきの回数が減るため、涙が角膜表面に均一に広がらず、涙の膜がすぐに途切れてしまいます。その結果、乾燥する、しみる、ゴロゴロする、光がまぶしいといった不快感が強くなります。
さらに、年末年始の忙しさや生活習慣の乱れやすさから、睡眠不足やストレスの増加などが、涙の量や質に影響し、冬のドライアイを悪化させる一因になります。
家庭でできるドライアイ対策
日常生活の中でできる対策を取り入れることで、多くのドライアイは軽快します。家庭でできる対策をご紹介します。
〇室内の湿度管理
加湿器を使う、洗濯物を室内で干す、暖房の風が直接当たらないよう風向きを調整するなどして、湿度を40〜60%に保ちましょう。特に寝室は乾燥しやすいため工夫が必要です。
〇意識的にまばたきの回数を増やす
画面を見る作業が続く場合は、意識的にまばたきを増やすことが大切です。集中するとまばたきの回数は普段の半分以下になると言われます。1時間に1回ほど目を閉じて深呼吸するだけでも、涙膜の安定に役立ちます。
〇アイケアをする
市販の人工涙液を上手に利用するのも有効です。防腐剤を含まないタイプの点眼薬は負担が少なく、一時的に目をうるおわせる効果があります。ただし、頻繁に点眼が必要な場合は、種類によって向き・不向きがあるため、眼科で相談することが望ましいでしょう。
また、まぶたを温めるケアもおすすめです。これは、まぶたを温めることで涙の蒸発を防ぐ油の分泌を促すマイボーム腺が開きやすくなり、涙の質が改善することを期待するケアです。まぶたにホットアイマスクや蒸しタオルを当てて温めます。

ドライアイで受診が必要な状態と眼科での検査・治療
セルフケアを続けても改善しない場合や、痛み、充血、強いまぶしさ、視界のかすみなどが続く場合は、角膜表面に傷がついている可能性があります。コンタクトレンズの装用が難しくなることもあり、早めの眼科受診が必要です。
ドライアイの診断にあたっては、涙の分泌量を測る検査(シルマー試験)や、涙の膜がどれくらい保てるかを調べる検査(BUT:Break-Up Time検査)、角膜に傷がないかを確認する検査(例:フルオレセイン染色検査)などが行われます。
検査の結果、ドライアイと診断された場合は、状態に合わせた治療を行います。人工涙液やヒアルロン酸点眼薬、ジクアス点眼薬など涙の不足成分を補う点眼薬や、ムコスタ点眼のような粘膜保護、炎症を抑えるステロイド点眼薬が処方されることが一般的です。角膜の傷が多い時は、眼軟膏を併用することもあります。涙がすぐに流れ出てしまう場合には、涙点プラグという小さな器具を涙の出口に挿入し、涙を目にとどめる治療が行われます。より効果を持続させたい場合には、涙点をふさぐ「涙点閉鎖術」が選択されることもあります。その他、コンタクトレンズが原因の場合は、種類や使用時間の見直しが必要になります。
まとめ
冬は乾燥や暖房、生活リズムの乱れなどが重なり、ドライアイが悪化しやすい季節です。日常生活の中でできる対策を続けつつ、症状が長引くときや視界に異常を感じるときは、早めに眼科を受診しましょう。
記事の要点
- 涙は3層構造で、どれかが乱れると乾きや刺激感、まぶしさが生じる。
- 冬は空気の乾燥、暖房器具の使用、秋や冬ならではの過ごし方により、ドライアイが悪化しやすくなる。
- まばたきの減少やストレス、コンタクトレンズなども症状悪化の要因になる。
- 室内環境の見直し、意識的なまばたき、アイケアなどで症状が改善することもある。
- 痛み・かすみ・充血が続く場合は眼科を受診し、状態に合った治療が必要となる。